業務システムの導入方法には、パッケージ・SaaS・オーダーメイド開発などがあります。自社に合う方法を選ぶには、それぞれの特徴を理解することが大切です。

本記事では、パッケージ・SaaS・オーダーメイド開発の違いと、それぞれに適した業務、導入前に確認すべきポイントを中小企業向けに解説します。

結論:システムの導入方式は「業務への適合」「導入・運用費用」「変更の自由度」「保守体制」「契約終了時の条件」を比較して判断することが重要です。

1. パッケージ・SaaS・オーダーメイド開発の違いとは?

まず押さえておきたいのは、これら3つの言葉は、厳密には同じ分類ではないということです。

パッケージソフトとは

パッケージソフトとは、多くの企業で共通して利用される機能を、あらかじめ備えたソフトウェアです。

例えば、会計、給与計算、販売管理など、標準化しやすい業務で利用されています。

既に機能が用意されているため、個別開発に比べて短期間で導入できる場合があります。

一方、自社独自の業務手順に対応できるかどうかは、製品の機能やカスタマイズ範囲によって異なります。

SaaSとは

SaaS(Software as a Service)とは、インターネット経由でソフトウェアを利用する提供形態です。

一般的には、サービス提供会社がシステムの運用や更新を担当し、利用企業はブラウザなどからサービスを利用します。

SaaSには月額料金や年額料金で利用できるサービスが多くありますが、料金体系はサービスによって異なります。

また、SaaSは提供形態を表す言葉であり、必ずしも既製品だけを意味するわけではありません。

オーダーメイド開発とは

オーダーメイド開発とは、企業ごとの業務内容や要件に合わせて、システムを個別に設計・開発する方法です。

例えば、独自の受注管理、顧客管理、承認フロー、集計処理などを組み合わせたシステムを構築できます。

既製品では対応しにくい業務に合わせられる一方、要件の整理、設計、開発、検証には時間が必要です。

なお、オーダーメイド開発だからといって、必ずしも開発費用を一括で支払うわけではありません。月額制で利用する方式もあります。

パッケージは主に製品の作られ方、SaaSは提供形態、オーダーメイドは開発方法を表します。月額制は料金方式です。

そのため、これらは必ずしも互いに排他的な選択肢ではありません。

参考:Microsoft Azure「サービスとしてのソフトウェア(SaaS)とは?」

2. 3つの導入方式を比較する

ここでは比較しやすいように、「自社環境へ導入する既製パッケージ」「既製SaaS」「オーダーメイドシステム」の3つに分けます。

既製パッケージ・既製SaaS・オーダーメイドの比較
比較項目既製パッケージ既製SaaSオーダーメイド
業務への適合標準機能・設定の範囲による標準機能・設定の範囲による業務に合わせて個別設計
導入期間設定・環境構築が必要比較的早く利用できる場合がある要件整理・開発・検証が必要
機能変更製品の仕様による提供会社の対応範囲による設計・契約の範囲で個別対応
運用・保守自社または保守会社など主にサービス提供会社契約により異なる
費用ライセンス・導入・保守費用など利用料・設定費用など一括払い・月額制など
契約終了時ライセンス条件による利用停止やデータ出力条件を確認権利関係・契約条件による

※一般的な傾向を示した比較です。実際の条件は製品、サービス、契約内容によって異なります。

「SaaSなら必ず安い」「オーダーメイドなら自由に何でも変更できる」というわけではありません。

導入時の費用だけでなく、数年間利用した場合の総費用や、業務変更への対応も含めて比較する必要があります。

3. パッケージソフトやSaaSが向いている企業

既製のパッケージソフトやSaaSは、標準的な機能で業務を進められる企業に適しています。

例えば、次のようなケースです。

  • 一般的な会計処理や勤怠管理を行いたい
  • 自社独自の業務ルールが少ない
  • 既製品の機能に業務を無理なく合わせられる
  • 短期間で利用を開始したい
  • SaaSや運用支援付きの製品を利用し、社内の保守・管理負担を抑えたい

既製品を利用することで、新たに開発する範囲を減らし、導入期間や費用を抑えられる場合があります。

ただし、必要な機能が用意されていても、実際の業務で使いやすいとは限りません。

例えば、返品処理、承認の差し戻し、例外的な請求処理など、日常業務で発生するケースまで確認することが重要です。

4. オーダーメイドシステムが向いている企業

オーダーメイドシステムは、既製品では対応しにくい業務や、複数の業務を連携して管理したい場合に適しています。

例えば、次のようなケースです。

  • 企業独自の受注・販売・請求ルールがある
  • 複数のExcelやシステムに同じ情報を入力している
  • 部署や担当者ごとに異なる承認手順がある
  • 取引先ごとに管理項目や処理方法が異なる
  • 既製品に業務を合わせると、かえって作業が増えてしまう

ただし、現在の業務手順が独自だからといって、すべてをそのままシステム化する必要はありません。

まず、業務の中で改善できる部分と、企業の事業上どうしても必要な独自ルールを整理します。

そのうえで、必要な機能だけを設計することが重要です。

オーダーメイドシステムの目的は、現在の作業をそのまま再現することではなく、業務に適した仕組みを構築することです。

5. 具体例:取引先とのやり取りを管理する場合

取引先とのやり取りを記録・共有する業務では、記録の件数が少なく、担当者が個別に確認するだけであれば、Excelや既製の情報共有ツールで十分な場合があります。

一方、導入方式を比較する際には、次のような要件まで整理することが大切です。

  • 同じ取引先との過去のやり取りを項目別・時系列で確認したい
  • 取引先の種類によって管理する情報が異なる
  • 記録内容を複数の関係者が確認する
  • 関係者全員の確認・承認状況を管理したい

雪瓦合同会社では、株式会社ビーティーウィズユー様向けに、法人・大学・学生とのやり取りを管理するオーダーメイドの「メモ管理システム」を提供しました。

相手先ごとの記録を項目別・時系列で確認でき、関係者全員の確認・承認が完了すると、該当メモのステータスが更新される仕組みです。

この事例で重要なのは、情報の保存だけでなく、情報の整理方法と社内の確認手順に合わせてシステムを構築した点です。

なお、既製品でも同様の要件を満たせる場合があります。自社に適した方法を選ぶには、必要な機能と運用条件を整理して比較することが大切です。

導入前の課題や具体的な仕組みは、株式会社ビーティーウィズユー様の紙・Excelによる記録管理をシステム化した事例をご覧ください。

6. 月額制のオーダーメイドシステムという選択肢

オーダーメイドシステムというと、開発会社へ多額の初期費用を支払い、完成したシステムを納品してもらう方式をイメージする方もいるかもしれません。

しかし、オーダーメイドシステムの提供方式は一つではありません。

雪瓦合同会社では、初期費用0円・月額制で、お客様専用のオーダーメイドシステムを提供しています。

お客様の業務内容や課題に合わせて個別に設計・開発し、運用開始後も保守、障害対応、業務改善、仕様変更に継続して対応します。

雪瓦では、開発したシステムのソースコードに関する権利は原則として弊社に帰属し、お客様には月額契約に基づく利用権を提供します。一方、お客様が登録・蓄積した業務データに関する権利は、原則としてお客様に帰属します。

このように、「自社専用のシステムを開発すること」と「月額料金で利用すること」は両立できます。

ただし、月額制が必ずしも一括払いより総費用を抑えられるとは限りません。利用期間や保守・改善の内容、契約終了時の条件を含めて比較することが重要です。

対応範囲はサービス案内、料金と提供条件は価格ページをご覧ください。

7. システム導入前に確認したい5つのこと

どの方式を選ぶ場合でも、導入前に次の点を確認することをおすすめします。

① 解決したい業務課題は何か

システムの機能を考える前に、現在の業務で何が問題になっているのかを明確にします。

例えば、入力時間の削減、確認漏れの防止、情報共有の改善などです。

② 必須機能と希望機能を分けているか

必要な機能をすべて最初から導入する必要はありません。

業務に欠かせない機能と、将来的に検討できる機能を分けることが大切です。

③ 実際の業務で利用できるか

画面の見た目や機能一覧だけでなく、日常業務の一連の流れを確認します。

特に、例外処理や承認、修正、集計なども確認するとよいでしょう。

④ 導入後の保守・改善は誰が担当するか

業務システムは、導入して終わりではありません。

障害発生時の対応、業務変更に伴う機能修正、問い合わせ対応などについて、責任範囲を確認する必要があります。

⑤ 契約終了時にデータを取り出せるか

システムを長期間利用する場合、契約終了時の取り扱いも重要です。

データの出力可否、出力形式、費用、利用終了後のデータ削除などを事前に確認しましょう。

準備の進め方は、業務システム導入前に整理すべき7つのことでも紹介しています。

8. よくある質問

SaaSとパッケージソフトは同じものですか?

同じ意味ではありません。

パッケージソフトは、あらかじめ機能が用意されたソフトウェアを指す言葉です。一方、SaaSはインターネット経由でソフトウェアを利用する提供形態です。

既製のパッケージソフトがSaaSとして提供される場合もあります。

月額制のシステムは、すべてSaaSですか?

いいえ。月額制は料金方式、SaaSは提供形態を表すため、同じ意味ではありません。また、オーダーメイドで開発したシステムをSaaSとして提供する場合もあります。料金方式と、開発・提供の方法を分けて確認することが大切です。

既製品とオーダーメイドシステムを組み合わせることはできますか?

はい。例えば、会計処理は既製の会計ソフトを利用し、企業独自の受注管理や承認業務はオーダーメイドシステムで管理する方法があります。

その場合は、システム間のデータ連携や二重入力の有無、保守範囲を確認することが重要です。

オーダーメイドシステムは、必ず開発費用が高額になりますか?

費用は開発内容や提供方式によって異なります。

一般的には個別の設計・開発が必要ですが、初期費用を支払う方式だけでなく、月額制で利用する方式もあります。

導入費用だけでなく、運用期間全体の費用や保守・改善の内容を比較することが大切です。

9. まとめ:自社の業務に適した方式を選ぶことが重要

パッケージソフト、SaaS、オーダーメイドシステムには、それぞれ特徴があります。

標準的な業務であれば、既製品を利用することが合理的な場合があります。

一方、企業独自の業務や複雑な管理方法があり、既製品では十分に対応できない場合は、オーダーメイドシステムが選択肢になります。

重要なのは、システムの名称や料金方式だけで判断せず、自社の業務への適合、導入・運用費用、変更への対応、保守体制、契約終了時の条件を総合的に比較することです。

雪瓦合同会社では、中小企業の業務課題に合わせて、初期費用0円・月額制のオーダーメイドシステムを提供しています。

現在の業務に適したシステムの選び方でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。