Excelは、一覧管理や集計に役立つ身近な道具です。使っているという理由だけで、業務システムへ置き換える必要はありません。一方、二重入力や確認漏れが繰り返され、管理のための作業が増えているなら、今の方法を見直すタイミングです。
本記事では、人材紹介会社の株式会社ビーティーウィズユー様に提供した「メモ管理システム」の実例を通じて、記録の蓄積と社内での確認・承認をシステム化した背景もご紹介します。
Excel管理を続けてもよいのは、どのような業務ですか?
担当者が限られ、情報の更新頻度が低く、入力から確認まで無理なく行える業務では、Excelが適している場合があります。自由な集計や、その都度形式を変える分析資料にも使いやすい道具です。
たとえば、担当者一人が月次の集計表を作り、結果を関係者へ共有するだけなら、専用システムを導入する前に、入力ルールやファイルの管理方法を整える選択肢があります。
重要なのは、Excelかどうかではなく、現在の方法で業務を安定して行えるかです。
システム化を検討したい5つの兆候
1. 同じ情報を何度も入力している
顧客台帳、受注一覧、請求用の表へ同じ内容を転記している場合、入力時間だけでなく、修正漏れや表ごとの不一致も生じます。情報を一度登録し、必要な業務で共通して使える方法を検討する価値があります。
2. どのファイルが最新か分からない
担当者ごとにコピーを保存し、更新内容を後からまとめているなら、共有方法を見直す必要があります。ただし、共有の問題だけなら、保存先の統一やExcelの共同編集で改善できる場合もあります。
3. 確認漏れや対応漏れが繰り返される
期限や進捗を人が毎回確認しないと仕事が止まる場合、一覧表だけでは業務の状態を管理しきれていない可能性があります。担当者、期限、対応状況を整理し、必要に応じて通知や承認の仕組みを検討します。
4. 特定の担当者がいないと作業できない
複雑な数式やマクロの仕組みを一人しか理解していない場合、休暇や退職時に業務が止まるリスクがあります。まず手順を共有し、それでも管理が難しい部分は、保守担当と責任範囲が明確な仕組みへ移すことを検討します。
5. 人ごとに見せる情報や操作を変えたい
「営業担当者は自分の案件だけを見る」「管理者だけが承認する」など、役割に応じた管理が必要になると、ファイル単位の運用では手間が増える場合があります。必要な閲覧・編集・承認の範囲を整理して判断します。
まずExcelの運用改善で解決できないか確認する
導入を急ぐ前に、次の対応で問題が減るか確認します。
- 保存先を統一し、メール添付でファイルを回す運用を減らす
- 入力項目や名称をそろえ、不要な転記をなくす
- 更新担当者と確認担当者を決める
- 数式やマクロ、作業手順を共有する
Excelには共同編集の機能もあります。ただし、利用するアプリのバージョンなどに条件があるため、現在の環境で使えるか確認してください。共同編集が可能でも、承認や対応漏れなど別の課題が解決するとは限りません。
導入事例:紙・Excelによる記録管理をシステム化|株式会社ビーティーウィズユー様
取引先とのやり取りが増え、記録の管理と社内確認が課題に
人材紹介事業を行う株式会社ビーティーウィズユー様では、取引先企業や大学、学生との日々のやり取りを、紙やExcelで記録・管理されていました。
しかし、同じ相手とのやり取りが積み重なるにつれて記録の量が増え、必要な情報を整理・確認することが難しくなっていました。
また、記録した内容は社内の関係者と共有し、それぞれが確認する必要がありました。認識に相違がある場合は内容を修正し、最終的に関係者全員の確認・承認を得るという業務の流れがありました。
そのため、単に記録を保存するだけでなく、過去のやり取りを整理して確認でき、社内の確認・承認状況まで管理できる仕組みが求められていました。
相手先・項目・時系列で過去のやり取りを確認
雪瓦合同会社では、こうした業務に合わせて、オーダーメイドの「メモ管理システム」を提供しました。
このシステムでは、法人・大学・学生それぞれについて、やり取りの記録を管理できます。
さらに、メモボードでは、同じ相手との記録を項目別・時系列で確認できるようにしました。
例えば、ある法人の「事業内容」に関する過去のやり取りを、日付順に振り返ることができます。
これにより、記録を単に蓄積するだけでなく、「誰との、何についてのやり取りなのか」という観点から情報を整理・確認できる仕組みを実現しました。
関係者全員の確認・承認状況を管理
登録されたメモは社内の関係者と共有し、内容を確認できるようにしました。
確認の過程で認識に相違があれば内容を修正し、関係者全員が確認・承認した段階で、該当メモのステータスが更新される仕組みです。
これにより、記録の管理だけでなく、関係者による確認・承認状況も一つのシステム上で管理できるようになりました。
この事例から分かる、Excel管理をシステム化すべきタイミング
この事例で重要だったのは、記録の量が増えたことだけではありません。
「同じ相手との過去のやり取りを、必要な項目ごとに確認したい」「記録した内容について、関係者全員の確認・承認状況を管理したい」という、業務上の要件がありました。
雪瓦合同会社では、紙やExcelの記録を単にWeb画面へ置き換えるのではなく、情報の整理方法と社内の確認手順に合わせてシステムを構築しました。
Excelで記録を残すことはできても、必要な情報を探すことや、複数の関係者による確認・承認を管理することが難しくなっている場合は、業務の流れに合わせたシステム化を検討するタイミングといえます。
導入前に確認したいチェックリスト
- どの作業で、何が、どの程度困っているか説明できる
- 入力ルールや共有方法の改善で解決できるか確認している
- 新しい仕組みへ移したい情報と、Excelに残す資料を分けている
- 必要な閲覧・編集・承認の範囲を整理している
- 導入後に業務を確認する担当者を決めている
導入費用だけでなく、現在の転記・集計・確認にかかる時間、導入準備や移行の手間、利用開始後の保守費用も比較します。工数削減は実際の業務で確認するものであり、導入だけで必ず効果が出るわけではありません。
よくある質問
Excelのデータは新しいシステムへ移せますか?
移せる場合があります。ただし、項目の構成、重複や入力のばらつき、新しいシステムの形式によって作業が異なります。対象ファイルを確認したうえで、移行する範囲と方法を決めます。
システム化したらExcelは使わなくなりますか?
必ずしもそうではありません。日々の登録や進捗管理はシステムで行い、分析や報告資料はExcelで作るなど、役割を分ける方法もあります。
まとめ
Excel管理の見直しは、ファイルの大きさだけでなく、二重入力、確認漏れ、情報共有、担当者依存などの影響から判断します。運用改善で解決できる部分を確認したうえで、必要な業務からシステム化を検討しましょう。
相談前の準備は業務システム導入前に整理すべき7つのこと、導入方式の比較はパッケージ・SaaS・オーダーメイド開発の違いと選び方をご覧ください。雪瓦合同会社の対応例は導入実績とお客様の声に掲載しています。

